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 富久長を醸す「蔵」

日本酒の酒蔵にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
蔵つきの酵母を大事にする蔵。近代化された工場で衛生的にお酒を造る蔵。北国の蔵。南国の蔵。お米にこだわる蔵。水を命とする蔵・・・。それぞれにポリシーがあり、それがお酒の個性となって楽しいのです。


 今田酒造のある町
富久長を造る今田酒造は、広島県の安芸津町という小さな町にあります。しかしながら、小さいながらもなかなか侮れない土地柄なのです。
 瀬戸の風わたる町、安芸津

今田酒造は広島県東広島市の安芸津という小さな町にあります。

東広島市というのは、広島県の東西ほぼ中央に位置し、古くから西条を中心とした酒どころとして栄えてきた街なのですが、最近では広島大学の移転などにより研究学術都市として急速に発展しています。また酒造技術開発の中心機関である独立行政法人 酒類総合研究所も東京の滝野川から移ってきており、名実ともに酒造りの中心地と呼べるでしょう。

この東広島市の一番南側、瀬戸内海に面した地域が安芸津町です。東広島の中心部はどちらかというと山の中のため冬はかなり寒くなるのですが、安芸津町はまさに瀬戸内の温暖な気候ですので、同じ東広島市かと思うくらいに暖かいのです。もっとも、夏場は有名な瀬戸の夕凪のせいで蒸し暑いのですが・・・

目の前に広がる瀬戸内海とこの穏やかな気候を利用して、安芸津町には名産と呼ばれるものがいくつかあります。
そのひとつは広島県と聞いて誰もが思い浮かべる牡蠣。海域の質により区分けがなされているのですが、安芸津の清浄な海域でとれる牡蠣は生食用として高い評価を得ています。
また広島県民ならば誰もが知っている安芸津のジャガイモは、気候の上に赤土という土質にも恵まれた最高級品。キメが細かく味わいに粘りがあって、他ではなかなか味わえない逸品です。
他にも広島県が国内生産のほとんどを占めるレモンをはじめとした柑橘類の生産も非常に盛ん。

瀬戸の風を感じる町、それが安芸津町です。
 吟醸酒のふるさと
安芸津町は古くより杜氏の郷として知られ、酒都と呼ばれる西条の酒蔵をはじめ、全国へたくさんの杜氏や蔵人が出かけていきました。

広島県の酒造りの歴史は古く、天正年間(1573年)ころに遡ります。
近代のような発展を遂げたのは明治28年の日清戦争以後、広島杜氏の里でる安芸津町の醸造家三浦仙三郎(1847−1908年)によって軟水醸造法が確立されたことによります。仙三郎は第1回全国清酒品評会の審査員をつとめ、杜氏の育成に力を注ぎました。その結果、広島の酒が上位を独占。吟醸酒が広島で生まれたとされる理由はここにあります。

ちなみに、『富久長』の酒銘も三浦翁につけていただいたものです。
広島の酒を創りあげてきた三浦仙三郎翁の座右の銘は「百試千改」。その情熱と由緒ある酒銘を引き継いでいるのが富久長です。
 蔵にもおいでください
今田酒造本店は、JR呉線安芸津駅より徒歩5分程度のところにあります。安芸津駅は海から数百mしか離れておりませんので、本当に瀬戸内海沿岸の蔵です。
お越しになる際にはひとまず安芸津駅を目指していただき、駅から見てすぐ右手の道を進み、突き当りを左折して100mほど行けば建物が見えます。
 
もし安芸津まで足をお運びいただければ、今田酒造では小売販売もいたしております。海沿いの片田舎の小さな町ですが、近隣の竹原や西条・呉へいらしたとき、またフェリーで四国から渡られたときなど、少し足を伸ばしてお立ち寄りください。

なお、人員がおれば対応させていただくこともありますが、営業部は基本的に土・日・祝日はお休みです。また年末年始やお盆などにもお休みをいただいておりますので、どうかご了承ください。
営業時間は9時〜17時です。  
今田酒造の地図
また申し訳ございませんが、蔵見学はお断りさせていただいております
と申しますのは、食品衛生上の理由と、小規模の蔵ですので十分にお客様のお相手をできる人員がおりませんこと、そして機械類など一般のお客様には危険があるかもしれない道具があることからです。
特に冬場はこれら三つの条件が重なりますし、夏場は蔵の補修などで危険になっている場合がございますので、年中を通じて蔵見学をお断りさせていただくことにしました。どうかご理解をお願いいたします。

(株)今田酒造本店
〒739-2402  広島県東広島市安芸津町三津3734
TEL (0846)45-0003  FAX (0846)45-3712
 富久長の酒造り
お米を麹で溶かして糖化し、酵母で発酵させる。どの蔵でもどんなお酒でも、酒造りの基本は同じです。それなのに日本酒の世界はこんなにも広く、深く、飲み手を心地よい酔いへと誘ってくれます。それは蔵がそれぞれに高い理想を掲げ、弛まぬ努力を重ねている結果です。

今田酒造でも独自に理想とする酒をイメージし、少しでも近づけるよう精進しています。我々の酒造りにかける想いを理解していただければ、富久長をより一層楽しむ一助となってくれることでしょう。
 富久長の原料となる米
文字通り”白い”白米美味しいものを作るためには、よい食材を用いなくてはなりません。酒造りであればもちろんお米です。
どんなにがんばってお酒を仕上げても、お米の実力以上の美味しさを引き出すのは困難です。

我々の酒造りに対する想いを生産者の方に伝え、草丈が高く栽培の難しい酒米を植えていただく。
多くの量は収穫できなくても高品質のお米を育てていただく。
生産者から見れば量が多い方が儲かるのですから、品質本位で栽培してもらうのは意外に困難なことなのです。

春や夏には時間をつくってお米の様子を見るために田んぼを廻ります。
生産者の方々に少なからず無理をお願いする以上は、お米を単なる原材料として捉えるのではなく、生産者と一緒になってお米を作り、お酒を造るようなつもりで扱っていきたいと考えております。

中でも富久長で一番注目し、力を注いでいるのが『八反草』という品種。
今でこそ流通が発達してどこにいても全国のお酒を楽しむことができるようになってきましたが、それでも日本酒は、お酒の造られた地域の風土や文化を投影する「地酒」としての側面を強く持ち合わせています。
富久長は広島の「地酒」ですから、広島固有のお米で醸したいのです。

広島の酒造好適米には3つの系統がありますが、広島で生まれ、育種されてきたオリジナルの系統が「八反錦」「八反」などといったお米で知られる八反系統。
その八反系統のルーツ、広島酒米のルーツこそが現在では全く栽培されることのない「八反草」なのです。

名前だけが資料に残り、幻となった「八反草」とはどんなお米だったのか。
幻の「八反草」の酒が飲みたいという思いから富久長の「八反草」栽培はスタートし、毎年その個性を余すところなく引き出そうと試行錯誤を繰り返しています。
 米を洗う
洗米酒造りに使われる米は、特別な精米機で長時間かけて高精白されます。
その際、機械の中で何日間も削られる間に、摩擦の熱によって米の水分が極度に失われてしまいます。
このまま水に漬けてしまうと急激に水を吸って割れてしまうので、自然の状態に戻るように、前もってお米の水分を調整しておきますが、それでも高精白したお米は中心のやわらかい部分のみとなっていますので、洗米の作業は秒単位で調節しなくてはなりません。

富久長では水分の吸収具合を確認するため、全ての酒で大吟醸と同じ手法を用い、10kgずつ手作業で洗米します。
袋に米を入れて文字通りの手洗いをする場合と、水流とシャワーで洗う簡単な道具を用いる場合とがありますが、いずれにおいてもストップウォッチ片手に秒単位の作業です。
お米や水の温度によっても微妙に水に漬ける時間は変化しますから、常に水の吸い具合を確認しながら微調整します。

機械任せ・大量生産では絶対に得られない富久長の細やかな酒造りは、お米を見ることからはじまるのです。
 米を蒸す
蒸しあがったばかりの米10℃内外という低温で30日にもわたる長い期間、モロミがじっくりと発酵を続けていくためには、お米が理想的な状態に蒸しあがっていなくてはなりません。
軟らかすぎれば崩れるように溶けてしまいますし、硬ければ溶けずにそのまま粕となってしまいます。
また酒造りで最も大切な麹を作るときにも、適度な弾力がなくては吟醸用の麹とはなりません。

外硬内軟。

スパゲティのアル・デンテとちょうど逆のような、米の外側は硬くて溶けにくく内側は軟らかいという一種矛盾のような理想的な蒸米に仕上げるためには、はじめは蒸して後は焼くという感じの、従来の和釜ようなイメージが必要です。
富久長では蒸気の圧力や温度そして乾燥具合にまで気を配り、軟らかくもパリッと仕上げることで、長期の発酵に応えてくれる粘り強い蒸米を得ています。
 麹づくり
麹ビールでもワインでも、おおよそお酒と名のつくものは、原材料から糖分を得て、それをアルコールに発酵させることで醸造されるのですが、その中で世界で唯一日本酒だけは、もろみの中ででんぷんからブドウ糖を作り出しながら、同時にアルコール発酵も行なうという高度な醸造技術(並行複発酵といいます)を用いています。
この技術の根幹をなすのが、ブドウ糖を供給してくれる麹です。

昔から「一麹、二モト、三造り」と、麹は酒造りの第一番に挙げられておりまして、お酒の味は麹で決まっていると申し上げて差し支えないほどです。必要十分な糖化力を持つことはもちろん、長期間にわたって少しずつブドウ糖を生成し続けてくれる麹が吟醸造りには不可欠です。
そのような麹を作るためには、温度や湿度のみならず、香り・味・手触りなどを頼りに丁寧に管理しなくてはなりません。
富久長では、昔ながらの木の道具で全ての麹を手作りします。品質を一定にするために昼夜を問わず手入れしなくてはならず、とても大変な作業ですが、富久長の酒を醸しだすために妥協することはできないのです。
 仕込み
並んだタンクに順に仕込む吟醸酒発祥の地である広島・安芸津の酒蔵として、富久長では大吟醸と同じ長期低温もろみで全てのお酒を醸します。違うのは、原材料であるお米の種類と精米歩合だけ。

現在では新酒鑑評会はお酒のコンテストとしてお祭のような扱いになっていますが、正式には醸造技術研究会と申しまして、本来は賞の有無よりも市販酒の酒質向上を旨としたものなのです。
大吟醸の技術を他のお酒にも活かすのはごく当然のことではないでしょうか。
材料の差はあっても技術は最高のものを用いるのが酒造家としての真心ではないか我々は思うのです。

もろみの仕込み温度は6℃と酵母の生育限界に近い低温。
もっと高い温度で醸せば安全に容易にたくさんのお酒ができますが、それでは富久長の求める酒質を得ることはできません。

30日に及ぶ長期の温度管理においても、0.1℃単位できめ細かに行なう必要がありますが、温度測定の位置や攪拌具合を工夫しながらコントロールしなくてはならないので、機械やコンピューターでの自動管理は不可能です。原始的で大変なようでも、温度やもろみの様子を確かめながら冷却水や保温マットを加減するのが、理想的なお酒を醸し出す確実な道なのです。
 搾りと瓶詰め
搾りお米を仕込んでお酒にすることばかりが注目される酒造技術ですが、せっかくの美味しいお酒を最後の失敗ですべて駄目にしてしまうこともあるのです。

搾ってすぐのお酒は溌剌として、次第に甘みが増えて美味しくなってきますが、ある時期を境にして急激に質が低下してしまいます。富久長では、お酒によって異なるその時期を的確に掴み、最も美味しいタイミングで瓶詰めをいたします。

この際、活性炭による濾過は行いません。活性炭が浄水器に用いられているように、炭素ろ過そのものが悪とは思いませんが、ろ過を行なうとお酒本来の味や香りも失われてしまいます。お酒となった時点で過不足なくお酒の要素を備えていなければ、本当の酒とは呼べません。
無ろ過瓶詰めは、富久長の醸造技術に対する自負の表われなのです。
 瓶火入れ
瓶火入れお酒は冷酒状態で瓶詰めされた後、瓶燗もしくは瓶火入れと呼ばれる方法で加熱殺菌されます。
通常ですと熱したお酒を瓶詰めする熱酒瓶詰めという手法を用いることが多いのですが、この方法ですと手間はかからない代わりに、温度を上げる過程で香りなどが失われてしまいます。

瓶燗とは湯煎でお燗する要領ですので香りはほとんど飛ばず、しかも予定温度に達した時点で急冷することができます。
非常に手間とコストがかかるため、大吟醸などの特別なお酒にのみ用いられる方法なのですが、お酒の持ち味を損なわないことを第一に考え、富久長ではほぼ全てのお酒にこの瓶燗を採用しております。

また、従来のお酒は造ったお酒を貯蔵タンクへ移すときに一度、商品を瓶詰めするときにもう一度、つまり二度加熱殺菌を行ないます。不用意にタンクのお酒を動かしたりすると、もっと何度も加熱の必要になるかも知れません。
いかに丁寧な作業をしても、加熱殺菌がお酒に与えるダメージは決して小さいものではありません。

富久長では最初の瓶詰めで商品にしてそのまま貯蔵しますので、火当てを一度だけに抑えています。小さい瓶の商品は1800ml瓶から詰め替えをするため二度の火当てとなることもありますが、もちろんこの場合もお酒の美味しさを保つために瓶燗急冷を行なっています。
 貯蔵と熟成
八反草の稔りお酒はお客様の口に入ったときに美味しくなくてはなりません。
美味しさを保ち、なお一層引き出してお客様に提供するために、貯蔵管理は非常に大切なものなのです。

富久長のお酒は全て1800ml瓶を主体とした瓶で貯蔵しています。
通常のタンク貯蔵に比べて細かい管理ができるうえ、酒に与える影響も非常に小さなものにできるのですが、膨大な瓶のコストとスペースが必要となるので、実践しているメーカーはあまり多くありません。

ほとんどのお酒を貯蔵するのは4ヶ所ある冷蔵庫。温度が低いほど熟成はゆっくりとなり、温度変化が小さいために若々しさを保ったままでまろやかな味わいに仕上がります。
全てお酒の様子を確認しながら管理しますので、熟成が若いものなどは敢えて冷蔵庫から出しておくこともあります。

お客様が楽しまれるそのときまで、美味しい状態でお預かりするようなつもりで丁寧に貯蔵管理しているので、富久長のお酒は若々しい澄み切った印象を失わないのです。